2026 . 04 . 15
INTERMOLD OSAKA 金属プレス加工技術展 2026
金属3Dプリンティングはどのようにしてバドミントンシャトルコック用金型の耐久性と生産性を向上させるのか
詳細な講演動画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=wIJEUKl-i8o
今回の大阪での講演では、プラスチック製バドミントンシャトルコックヘッド用金型の開発事例を中心に紹介しました。
HTTは、**コンフォーマル冷却流路設計(Conformal Cooling)とマイクロベント技術(Micro Venting)**を組み合わせることで、従来金型の性能限界を大きく突破することに成功しました。

一見シンプルに見えるバドミントンシャトルコックですが、その安定した量産には高精度な金型が不可欠です。シャトルコックヘッドの射出成形では、金型は長時間かつ高頻度の生産条件に耐えながら、常に安定した寸法精度と品質を維持しなければなりません。そのため、冷却性能、排気性能、耐久性は製品品質や生産コストに大きな影響を与えます。

従来金型が抱える課題
従来の金型設計には、長年にわたり以下の2つの課題が存在していました。
冷却効率の限界
従来加工では直線的な冷却流路しか形成できないため、金型内部で局所的な熱だまりが発生しやすく、冷却ムラや成形サイクルの長期化、品質のばらつきを招いていました。
排気性能の限界
溶融樹脂がキャビティ内に充填される際、内部の空気を迅速に排出できなければ、ガス溜まり、焼け、ショートショットなどの成形不良が発生しやすくなります。
これらの課題を解決するため、HTTは金属積層造形技術と高度な金型設計技術を融合した新しいソリューションを開発しました。

コア技術
コンフォーマル冷却流路
従来の直線流路とは異なり、コンフォーマル冷却流路は製品形状に沿って配置されます。
これにより、冷却流路を成形部位により近づけることができ、熱を均一かつ効率的に除去することが可能になります。
その結果、冷却時間の短縮、寸法安定性の向上、生産効率の向上を実現します。
マイクロベント技術
金属3Dプリンティングの高い設計自由度を活用し、金型内部に微細な排気構造を形成しました。
これにより、成形時に発生するガスを効率よく排出しながら、樹脂漏れを防止します。
結果として、不良率の低減と生産安定性の向上を実現しました。

なぜSUS420J2を採用したのか
構造設計だけでなく、材料選定も重要な要素です。
本事例では、高硬度金型鋼であるSUS420J2を採用し、高精度金属3Dプリンティングによって製造しました。
造形部品は内部気孔がほとんどなく、気孔率はほぼ0%を実現しています。これにより、高強度、高耐摩耗性、および長期的な信頼性を両立しています。
実証された成果
材料、設計、製造プロセスを総合的に最適化することで、HTTは従来金型の性能限界を超え、以下の成果を達成しました。
- 射出成形寿命100万ショット以上
- 生産効率42%向上
- 不良率の大幅な低減
- 成形安定性および製品品質の向上

金属3Dプリンティングは製造技術を超えた金型設計の革新
これまで製造が困難だったコンフォーマル冷却流路、複雑な流路構造、微細排気構造などの内部形状は、金属3Dプリンティング技術の進歩によって実現可能となりました。
設計自由度と製造能力を融合することで、金型は単なる生産ツールから、生産性・品質・競争力を向上させる重要な戦略資産へと進化しています。
HTTは今後も金属積層造形技術への取り組みを継続し、革新的な設計と製造技術を通じて、精密製造業界に新たな可能性を提供してまいります。
